お客様の声

VOICE


Q. 先生と顕微鏡との出会いについて教えてください


もともと小さい頃から生き物にはとても興味のある子で、とにかく色んな生き物に触りたい!と思っていたことを覚えています。
小学校高学年になると授業で顕微鏡を使いますが、顕微鏡を授業で扱う機会が少なく「どうしてもっと触らせてくれないの!」という不満がありました。そして、遂に両親にお願いして教育用の顕微鏡を買ってもらいました(笑)
今から思えばおもちゃのような顕微鏡です、それでもその顕微鏡で観察するのが楽しくて、毎日毎日色々な物を観察していました。
研究の世界に進んだ当初は免疫の研究を主に行っていたこともあり、顕微鏡を触る機会はあまり無かったのですが、血管生物の世界と出会ったことで自分の研究スタイルが大きく変化し、そこで顕微鏡と向き合うことになったのです。

Q. 実際に顕微鏡を使いだしてどんなご苦労をなさったのですか?


血管生物の研究に没頭し始めるとだんだんイメージングという物が重要であるということを認識し始めました。当初僕は顕微鏡のことが全く分からず、共焦点どころか蛍光顕微鏡ですら十分に扱えずにいました。
接眼レンズ越しに見える世界と撮影した画像とのあまりのギャップに愕然とする日々。目の当たりにした現象を誰にも伝えられない葛藤から真剣に顕微鏡と向き合おうと思ったのです。
日々失敗を繰り返していく中、徐々に思い描くような画像が撮れるようになると、その画像を見て「綺麗ですね」と評価していただけることが増えました。それまで多くの失敗を重ねていただけに物凄く嬉しかったですね、それこそ研究内容を褒められるよりも(笑)

Q. 先生にとって顕微鏡とは?


研究の中で顕微鏡から得られる画像というのは大変重要な物だと考えています。
血管というのは大変美しい物です。複雑に入り組み完璧に設計された構造パターン。未知のプログラムによって新生され、そして役目を果たすと規則正しく崩壊する綿密なサイクル。血管のシステムが破壊されるということはつまり、生物のバランスを破壊する重要な出来事であり、その微妙な破壊と新生のバランス、規則と不規則の合間に私は魅入られています。
だからこそ、この美しい構造物の姿をしっかりと伝える為に私は写真に大変強いこだわりを持っています。サンプリングに多くの時間を費やし、何度も何度も画像を撮り直すという作業、これだけは絶対に妥協したくないのです。
1枚の画像の中に自分の研究のすべてを閉じ込め、その画像1枚を見せるだけで自分の研究をすべて納得させ、理解してもらうということが究極の目標ですね。

Q. 今後のご研究と顕微鏡との関わりについて


分子から細胞、細胞から組織、そして個体へと研究対象にも変遷があるように顕微鏡も光学顕微鏡から共焦点、二光子、そして超解像やライトシートなど進化を続けています。我々研究者もこういった新たなテクノロジーの価値を知り、その技術を自分の手法に取り込まねば、世界から取り残されると思います。これまでの常識も、新たなテクノロジーで再検証することで全く違う結果が得られるかもしれない。そういった事象を解明するのも我々世代の重要な使命ではないかと思うのです。
最後に、顕微鏡でサンプルを見るのは本当に楽しい!何週間もかけて作ったサンプルを顕微鏡でようやく眺める瞬間の快感!僕は絶対に出来たばかりのサンプルは接眼レンズで見るんです、それが僕のポリシー(笑)

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