お客様の声

VOICE


Q. 印象深かった実体顕微鏡との出会い


今日は幼い頃のお話から始めるのも良いかなと考えたのですが、それよりもう少し先、私が研究者となり出会ったライカの実体顕微鏡のお話を少しします。
国立精神神経医療研究センターの研究室で骨格筋の特異的な遺伝子制御について研究していたある日、ライカの実体顕微鏡でマウスの9.5日胚を見た時の感動が今でも忘れられません。立体的な生き物の美しさ、わずかな日数でダイナミックに成長する骨格筋の姿。今まで自分が観察していたものは2次元だった!生物は3次元で構成されている!なんて素晴らしいのだろう!私はその連続する生命の姿に震えるほどの感動を覚えました。
3次元の世界では相互の関係性がよりはっきりと見えてきます。その重要性こそ最も必要だと感じた私は次第に共焦点レーザー顕微鏡へ興味が湧いてきました。
話は少し外れてしまいますが、私実は方向音痴なんです。地下街に降りて、3回階段を使うと方向が全然わからなくなってしまいます、だからこそかもしれませんね、3次元への強い憧れ(笑)

Q. 共焦点レーザー顕微鏡が与えてくれた3次元の世界


それまでマウスを用いてイメージングの実験を進めていたのですが、マウスだと我々が望む情報を得るには厚さの関係上どうしても観察できない、そこで京都にやって来てからゼブラフィッシュを用いた実験を開始したんです。3次元でのライブ画像を得ようした場合、ゼブラフィッシュを使用する以外に手はない、全ては3次元の情報を得たいという一つの目的のためでした。
ゼブラフィッシュの実験を始め、遂に我々は血液の循環が胎児の肺の中で開始する瞬間を世界で初めて映像で捉えることに成功しました。ゼロの瞬間を発見する喜び、始まりの瞬間を目撃したいという欲求、それが遂に満たされた瞬間でしたが、流れ始めの映像を最初に見た正直な感想は「あ、流れ始める瞬間があるんだ…」という、とてもシンプルなものでした(笑)
私はずっと骨格筋のメカニズムを追いかけ続けてきました。そのメカニズムを可視化する為に様々な顕微鏡に触れてきましたが、多光子顕微鏡を用いることで遂にマウスの見たい部位が観察出来るようになりつつあります。これからいよいよマウスで実験を進めていきたいと考えています。

Q. 顕微鏡へおもうこと


私の研究を振り返ると顕微鏡無しでは考えられません、それくらい顕微鏡は私にとって重要な存在です。でも顕微鏡はとても高い!全ての研究者たちがその利益を享受することは出来ません。私は顕微鏡を購入する際、いつも清水の舞台から飛び降りるつもりでしたよ(笑)
あと、使用者の側から言わせて頂くとハード面の進歩と比してソフトウェアのアップデートが非常に遅く感じます。専門的な知識や技術を持つ方達には良いのかもしれませんが、これからイメージングを始めようとする人たちとって、より簡単に扱える仕組みのソフトウェアが有っても良いと思います。また、機械の大型化でスペースの確保が難しくなりました、日本の研究室事情からすると、もう少しコンパクトにしてほしいところです。

Q. これから顕微鏡と向かい合う方々へ


とにかくずっと顕微鏡を使ってサンプルを見続けてください、それこそ端から端まで、何度も何度も、ずっと見続けてほしいと思います。そうして眺め続けることでようやく「いつもの姿」とは違う姿に気づくことが出来るようになります。些細なことでも良いのです、その小さな「違い」を絶対に見逃さないでほしいと思います。
でも、思い込みが激しいと視野が狭くなりますから、判断を誤ってしまう可能性もあるので、常にフラットな視線は忘れないでください。
ただ・・・結局のところ好きじゃ無いと続けられないのかなぁ。

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